インド、東京、福島という複数の拠点を往還しながら創作活動に取り組んでいる建築家・佐藤研吾の初個展を開催します。
本展では、自身でデザインし制作した家具としてのハコや、ピンホールカメラ(ハコ)とそれを使って撮影したハコの写真、またハコのドローイングなど、独自の世界観をご覧いただきます。
会期中、作家は毎日在廊予定です。
以下の日程で以下のゲストをお迎えし、ギャラリートークを開催します。
※要予約, 参加費1,000円、複数回参加の方は二回目からは500円
12/13(木)13時~ ゲスト:中島晴矢さん(現代美術家)
12/14(金)18時~ ゲスト:岸井大輔さん(劇作家)
12/15(土)18時~ 佐藤研吾レクチャー
12/21(金)18時~ ゲスト:小国貴司さん(Books青いカバ店主)
12/22(土)18時~ 佐藤研吾レクチャー
【ステートメント】
「のんのんのんのん」は宮沢賢治の話の中で出てくる機械の音だ。オツベルは16人の百姓と
6台の稲扱機械を使ってその音を鳴らし、入っている小屋を震わせている。どうやら東北の
方言にもあり、いきおいよく押し寄せてくる様を表す言葉であるらしい。オツベルのそれは
まるでオルゴールのようだ。ハコの中でのんのん、が鳴り響く。そこへ白い象が森からやっ
てくる。最後には大量の黒い象が押し寄せてくる。どうやらハコの内外を巡る振動の話でも
あるらしい。
昨年頃から、何某かを嵌め込み、隠し、包み、囲うハコを制作している。共にインドへ出か
けたり、東北は福島の中山間へ持ち込みもした。家具程度のスケールであるが、家の原形の
ようでもあり、世界を眺めるための模型でもあるかもしれない。そして、そんなハコ達が勝
手きままに外へと歩き、群動し、時折こちらへ「おーい」と呼びかけてくるような、不可視
の小芝居を見てみたくなった。
芝居では町村の関係、都会と農村の間の往還方法が主題でもある。両者を二分することなく
考えたいのが本意ではあるが、それぞれから向かう矢印の方向、交錯状況を自分の体の内に
取りこまんとするためにあえて引き離す。どちらがどちらを取りこむのか。はたまたいかな
る相補的なせめぎ合い(それを交易とも呼ぶ)を繰り広げるのか。実地としてのそれぞれの
フィールドを行き来しながらも、展示というハコ=隠れミノの中に入ってじっくりと考えて
みる。
2018年 佐藤研吾
■佐藤 研吾 (Sato Kengo)
建築家、一級建築士
1989年神奈川県横浜生まれ。
2011年東京大学工学部建築学科卒業。
2013年早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻修士課程(石山修武研究室)修了。
同専攻嘱託研究員を経て、2014年よりスタジオGAYA。
2015年よりインドのVadodara Design AcademyのAssistant Professorに就任。
同年より東京大学工学系研究科建築学専攻博士課程在籍。
2016年より福島県大玉村で藍染めの活動をする歓藍社に所属。
同年よりインドでのデザインワークショップ「In-Field Studio」を主宰。
2017年に「インド・シャンティニケタンに同志を募って家を作りに行く」でSDレビュー2017の鹿島賞を受賞。
2018年より福島県大玉村地域おこし協力隊。
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