1999年11月から2000年2月の展覧会
[ ポ リ ア コ フ 展 − 没 後 3 0 年 ]
会期…………1999年10月29日(金)〜11月 6日(土)
会場…………ときの忘れもの 〒107-0062 東京都港区南青山 3-3-3 Tel:03-3470-2631 概要…………ロシア革命の嵐の中、各地を流浪したのちフランスに帰化、洗練された色彩、深い内面的充実感と堅牢性を持つ抽象表現を確立したポリアコフの没後30年を記念して版画展を開催し、「青のコンポジション(1958年 銅版)」「コンポジション 赤・灰・黒(1960年 リトグラフ)」など50〜60年代の版画代表作15点を出品します。
ポリアコフは油彩の他に、1946年から晩年まで、リトグラフ、木版、セリグラフ、銅版など 118点の版画を制作しました。一見、色がひしめき合うような構成で、形態よりも色彩の重なり合う空間に、自らの内的世界の投影を図る作品は、造型性とポエジ−との結合といえるでしょう。
◆セルジュ・ポリアコフ(Serge POLIAKOFF 1906-1969)…………1906年モスクワの富裕な家庭に生まれるがロシア革命を逃れ、著名な歌手である叔母と共に欧州各地を流浪後、23年にパリに落ち着く(62年フランスに帰化)。はじめ音楽を学び、ギター奏者として生計をたてていたが、29年画家を志し、パリ、ロンドンの美術学校で学ぶ。カンディンスキーを知って抽象に転じ、38年最初の抽象画を発表。47年カンディンスキー賞を受賞。52年バング画廊との契約を機に、副業のギター奏者を辞めて、制作に専念する。66年にはモントン・ビエンナーレで大賞を受賞等、戦後フランスを代表する抽象画家の地位を確立。69年死去。70年パリ近代美術館で没後初の回顧展が開催され、日本でも1988年、西武美術館で「ポリフォニックな色彩と構成の詩 −フランス抽象絵画の精神 −ポリアコフ展」が開かれ大きな反響を呼んだ。
[ オ ノ サ ト ・ ト シ ノ ブ 展 ]
会期…………1999年11月19日(金)〜11月27日(土)
会場…………ときの忘れもの 〒107-0062 東京都港区南青山 3-3-3 Tel:03-3470-2631 概要…………生涯にわたり円を描き続けた孤高の画家、オノサト・トシノブ(1912〜1986)の60年代の初期版画(リトグラフ、シルクスクリ−ン)を中心に油彩など20点を展示します。オノサトは、戦前から前衛美術運動に参加した抽象絵画の先駆者の一人でした。1912年に長野県飯田市に生まれた小野里利信は、日本の前衛美術運動がさかんに展開していたさなか、1935年に結成された「黒色洋画展」への参加をもって、日本美術史に登場します。シベリアでの抑留生活を終えて帰国し、猛烈な勢いで絵を描き始めた1949年頃から、画家の名前として「オノサト・トシノブ」を用いるようになりました。菅井汲、山口長男らと並ぶ現代日本を代表する抽象画家として世界に名を知られ、その作品は、ニューヨークのグッゲンハイム美術館、ローマの国立近代美術館などに収蔵されています。その評価が高まる一方で、ある時期から、既成画壇からはもちろん、極く少数の支持者のほかには美術界からも遠ざかり、群馬県桐生のアトリエに独り籠り、黙々と制作に没頭し、自らの抽象の世界を展開することに突き進み、1986年11月、74歳の孤高の生涯を終えました。
[水彩・素描コレクション展]
会期…………1999年12月 3日(金)〜12月11日(土)
日本の近現代美術史に大きな足跡を残した小出楢重、長谷川潔、山口長男、草間彌生、三上誠などの水彩、素描を展示します。
◆小出楢重………1887年大阪生まれ。1914年東京美術学校西洋画科卒業。21〜22年渡欧。24年鍋井克之らと大阪に信濃橋洋画研究所を開設。文筆活動も盛んに展開。簡潔なフォルムと流麗な色彩による独自の様式化した画風を築き、裸婦に秀作を遺した。31年没(43歳)。
◆長谷川潔………1891年横浜生まれ。16年永瀬義郎らと「日本版画倶楽部」結成。18年渡仏。26年パリで初個展。銅版画の古典的技法のメゾチントを復興し国際的評価を受ける。在仏60年、一度も帰国することなく孤高の生涯を貫いた。80年没(89歳)。
◆山口長男………1902年京城生まれ。27年東京美術学校西洋画科卒業。27〜31年パリに留学。戦後はサンパウロ及びヴェネツィア・ビエンナーレ等内外の国際展で活躍。少ない色数の絵具を塗り込めた色面構成による、東洋的情趣をもった抽象画を描く。83年没(80歳)。
◆三上誠………1919年大阪生まれ(旧名、嶋田誠)。44年京都市立絵画専門学校卒業。49年、星野真吾、下村良之助、大野俶嵩らと「パンリアル美術協会」を結成する。日本画家でありながらコラージュなど多彩な技法を駆使し、常に革新を追い求めた。72年没(52歳)。
◆草間彌生………1929年長野県生まれ。57年から73年までニューヨークを拠点に精力的に作品やハプニングを発表。帰国後も美術、小説など旺盛な制作を続ける。昨年ニューヨーク近代美術館など全米3館、今年4月には東京都現代美術館で大回顧展が開催された。
[Prints Fair 1999] (年末セ−ル)
会期…………1999年12月18日〜12月19日 会期中無休
今年一年のご愛顧を感謝し、多数の版画作品を用意して、皆様のご来廊をお待ちしています。
駒井哲郎、初山滋、武井武雄、草間彌生、靉嘔、日和崎尊夫、大沢昌助、黒崎彰、 小野隆生、舟越桂、前田常作、北川民次、谷川晃一、舟越保武、東山魁夷、
瑛九、オノサト・トシノブ、吉原英雄、木村茂、泉茂、柄沢斉、中山正、百瀬寿、 武田史子、恩地孝四郎、森村泰昌、池田満寿夫、戸村茂樹、菅井汲、堀浩哉、
織田一磨、前川千帆、横尾忠則、元永定正、金守世士夫、一原有徳、磯辺行久、 山中現、萩原英雄、藤牧義夫、南桂子、磯崎新、安藤忠雄、根岸文子
ウォ−ホル、シャガ−ル、ミロ、ヴァン・ドンゲン、ロ−ランサン、ダリ、
マン・レイ、ソニア・ドロ−ネ−、リキテンシュタイン、ヘンリ−・ム−ア、
[難波田龍起展]
会期…………2000年 1月14日(金)〜 1月22(土)
概要…………日本の抽象の先駆者として92歳まで表現しつづけた難波田龍起が、この世を去って早くも2年が経ちます。その深い精神性にもとづいた抽象の世界は今さらながら強い感銘を受けます。淡々と自らの道を歩んだ画家を偲び、版画(銅版画、リトグラフ)、水彩など15点を出品します。
◆難波田龍起(なんばた たつおき)………1905年北海道旭川市生まれ。27年早稲田大学中退、太平 洋画会研究所、本郷絵画研究所に学ぶ。川島理一郎主宰の金曜会に入り、その仲間と「フォルム」 を結成、第一回フォルム展を銀座・紀伊國屋画廊で開催。37年自由美術家協会の創立に会友として 参加、翌年会員。42年第一回個展を銀座・青樹社画廊にて開催。70年代後半、銅版画を集中して制 作。96年文化功労者に選ばれる。97年92歳の生涯を閉じる。
[内間安王星展−抽象木版の世界]
会期…………2000年 2月10日(木)〜 2月19(土)
概要…………内間安王星はアメリカで生まれ、日本に留学、恩地孝四郎に巡り逢い伝統木版の制作で確かな地位を築いた作家です。戦後、油絵制作の社会的必然性に疑問を抱き、版画の大衆性と創作版画の意義に惹かれ、木版の世界に踏み込みます。代表作[Light Mirror and Water Mirror](1977),[For-est Byobu Series]などに展開される、理論的に考えぬかれた構成の中で意図された、自律的に色彩が演じる内間が言うところの“視覚ダンス”は、リズム感に富んだ独特の世界を表現しています。
出品作「Forest Byobu」(1980-82)は、版木ベニヤ8面、水彩絵具で生漉奉書に手摺りで45度摺りが行われていますが、版が幾度となく重ねられた末に生まれた色は深く静かに澄み切っています。日本では知られることの少ない内間の木版画代表作、水彩画など、20点を出品します。
◆内間安王星(うちま あんせい)………1921年アメリカ生まれ。1940〜59年日本に住み、60年帰米、 以後ニューヨーク在住。はじめ油絵を描くがのち版画に転じ、77年頃から水彩絵具を用いた浮世絵 版画の技法による色面摺り木版を制作。理論的な構図の中で色彩が自律的に響き合う“視覚ダンス” を意図した作品の発表を続け、アメリカ美術界に確固たる地位を確立した。アメリカの版画展や国 際版画展出品のほか、東京・養清堂画廊、ニューヨーク・ナルディン画廊など、個展発表は約50回。 66、62年グッゲンハイム・フェローシップ版画部門で受賞。メトロポリタン美術館、ワシントン国 会図書館、ホワイトハウス、アムステルダム・ライス美術館他に収蔵されている。
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