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500年の伝統技術を持つ宝石の工芸美の町
イーダー・オーバーシユタインに生まれた工芸品
1000年前に発見された水晶。
歴史と伝統を受け継ぐ宝石の街甲府の「水晶彫刻細工」

宝石彫刻の美

500年の伝統技術を持つ宝石の工芸美の町
イーダー・オーバーシユタインに生まれた工芸品

プロローグ
今にも飛び立とうとしている一羽の鳥がいる。その目も、羽も美しさと力強さを感じさせる。
しかし、これは現実の鳥ではない。
石から生まれた鳥なのだ。長い経験と高い水準の専門技術を持つ職人たちが、あたかも魔術をかけたように生命を吹きこんだ工芸品なのである。


今羽ばたこうとする鳥たち

選び抜かれた熟練工によって、今日まれに見る完璧なまでもの手作りで表現される鳥たちは、自然の美しさを持つ宝石を使って、キャンバスを飛び出して描き出された究極の美なのである。これらの作品は世界の「美」の理解者たちの心を捉えて離さない。 作品は単なる宝飾品でも、彫像でもなく、人工の極致ともいえる精緻さを持ちながら、宝石・貴石の持つ自然の輝きがある。素材は鉱物質なのにもかかわらず、そこには生命の感触が息づいている。これらは、長い経験と試行錯誤の繰りかえしのなかから、初めて生まれてきたものである。 原石の質や内部構造を判断する該博な知識、石のカット、研磨、彫刻そして使用する道具や工具に習熟することも含めて一貫した流れのなかで身につけた高い水準の専門技術が必要なのだ。 原石の段階から数週間かかって、やっとひとつの作品が生まれる。しかしながら、優れた職人は一様にこんないい方をする。「モチーフは原石の中に眠っている。手でやさしくなでて、起こしてやればいい。」と・・・・

工芸の故郷イーダー・オーバーシユタイン

これらの工芸品は、ドイツのイーダー・オーバーシユタインという美しい町で生まれた。イーダ-・オーバーシュタイン市はフランクフルトから南西に約130km。谷間の小さな田舎町である。市街の中心を横切って流れるナーへ川はライン川に合流している。この町は、古き良きヨーロッパの雰囲気を残すばかりでなく、五百余年にわたる宝石の町としての歴史を誇っている。
世界の宝石学の要であるドイツ宝石学協会、ドイツ宝石学研究所そして、ダイヤモンドー宝石取引所が、この町にあることも、その歴史をよく象徴している。
17~18世紀には、ヨーロッパ全域で宝飾品を身につけることが流行したが、そのなかで特に珍重されたカメオの製作は、ほとんどがこの町で作られていた。

Meisterの工房見学作家と工房
メノーという硬くて美しい石が取れたところからイーダー・オーバーシユタインの宝石加工技術は発達し
ていった。なかでも工芸品は幾つかの工房で多くの優秀な技術者が助け合い、また競いあうところからその技術は高まっていった。

天然石の魅力

石は150,000年の年月を経てその色と輝き、そしてクラックを作り上げた。 ある人はそれを「キズ」と言い、ある人はまたそれを「インクルージョン(内包物)」という。しかし作家たちは「神の指紋」と呼んでいかに年月が残した履歴を作品に生かすか、それこそが天然石を加工する人たちの責務と考えているのである。


EMIL(エミール) BECKER(ベッカー)

エミール・ペッカー社は1630年創業、現在の貴石デザイナーであるManfred Wildで8代目になる。
エミール・ベッカー社はメノーの複雑微妙な層を生かしたカメオの絶品や、小鳥や動物、花などの宝石彫刻によって知られている。とりわけ優秀な職人には、匠(マスター)の称号が与えられるが、エミール・ペッカー社は、これらの匠を擁する宝石の名門として世界に知られている。    
作品は単なる宝飾品でも、彫像でもなく、人工の極致ともいえる精緻さを持ちながら、宝石・貴石の持つ自然の輝きがある。素材は鉱物質なのにもかかわらず、そこには生命の感触が息づいている。これらは、長い経験と試行錯誤の繰りかえしのなかから、初めて生まれてきたものである。
原石の質や内部構造を判断する該博な知識、石のカット、研磨、彫刻そして使用する道具や工具に習熟することも含めて一貫した流れのなかで身につけた高い水準の専門技術が必要なのだ。
原石の段階から数週間かかって、やっとひとつの作品が生まれる。しかしながら、優れた職人は一様にこんないい方をする。「モチーフは原石の中に眠っている。手でやさしくなでて、起こしてやればいい。」と・・・・


水晶インタリオ 馬と犬
18.5X15X5cm


W.CONSTANTIN(コンスタンティン) WILD(ウィルド)
コンスタンティン・ウィルド社は1847年、ジョハン・カール・ウイルド9世によって創設されました。
初代ウイルド氏は彫刻技術者として優秀であったばかりでなく宝石の原石ビジネスでも世界中で55カ国以上の原石業者との取引を通じて上品質な原石を手に入れることに成功しました。
戦前、戦後を通じてウィルド氏の彫刻技術は引き継がれ、古典的な彫刻調度品から新しく革新的なカット石までを次々と発表していきました。
現在、4代目に当たるウイルド氏はフランスとイギリス、また米国(GIAを卒業)で学んだ後彫刻家として、またトレーダーとして活躍しています。

アクワマリン・ハミングバード
16X14X8cm


GEBRUDER(ゲブルダー) WILD(ウィルド)
ゲブルダー・ウィルド社はイーダ-・オーバーシュタインで有名な貴石彫刻工房の一つである。ウィルド家は1678年から貴石彫刻家としての歴史を刻んでいる。
ゲブルダー・ウィルド社は1858年ゲブルダー・ウィルドとその兄弟のハラルド・ウィルドによって創設された。
「エレガントで特別な何か。」その何かに必ず出会えるのがゲブルダー・ウィルド社の作品である。
選び抜かれた熟練工によって、今日まれに見る完璧なまでもの手作りで表現される鳥たちは、自然の美しさを持つ宝石を使って、キャンバスを飛び出して描き出された究極の美なのである。これらの作品は世界の「美」の理解者たちの心を捉えて離さない。
特にいくつかの原石を巧みに張り合わせ、自然の色を表現する技術はゲブルダー・ウィルド社ならではのものと言える。

ラピスラズリかわせみ
13×12×12cm


伝統的工芸品「甲州水晶貴石細工」

1000年前に発見された水晶。
歴史と伝統を受け継ぐ宝石の街甲府の「水晶彫刻細工」

歴史

我が国唯一の特殊工芸品甲州水晶細工の歴史とは、今から約千年前景勝地「御岳昇仙峡」の奥地金峰山周辺からの水晶原石の発見に始まります。 水晶発見当時は原石のまま置物などに珍重されていました。今からおよそ200年前、天保年間(1930~1944)京都の「玉造」より職人を迎え、鉄板の上に金剛砂をまいて、玉の手磨き方法を習得したのが水晶加工の始まりです。

その後、明治9年藤村県令が、甲府市に勧業所を設け「水晶加工部」を設置し、技術面の研究のため、3名を水晶加工の先進地である清国(中国)へ派遣しています。この様にして技術面は明治後期手摺加工から足踏み回転式に改良され、更に大正初期の電力加工により飛躍的に進歩し現在に至りました。更に昭和52年通商産業大臣指定(伝統的工芸品)産業と認定されました。この古い歴史と伝統を持った産業を保存、かつ発展させるべく技術の向上、後継者の育成を計り、今後一層の努力を続けるものであります。

 

甲州水晶貴石細工の魅力

自然が生んだ天然貴石の透明感あふれる色合いと輝き。

甲州水晶貴石細工は精を極めた彫刻と入念な研磨技術によって、この天然貴石の秀れた味わいに人生の感性を経た「美」を加えているのが特徴です。どの作品にも流れるようなまろやかな曲線の美しさが生き、さまざまな表情と踊りだすような躍動感がみなぎっています。

こういった表情を貴石に彫り込むには、高度の伝統技術を駆使した職人の手作業が欠かせません。原石を削り彫刻して磨く作業はちょっとした刃の当て方の違いで、一瞬のうちに原石を砕いたり傷つけたりするからで、少しも気の抜く暇のない、緊迫した作業です。その意味では、甲州水晶貴石細工の美しさは「緊迫の美しさ」と言えるでしょう。

 

詫間悦二
伝統工芸士、やまなし現代の名工、1級宝石研磨士社団法人 日本工芸会正会員
プロフィール  

昭和16年函館市に生まれる
詫間宝石彫刻代表
伝統工芸士、やまなし現代の名工、一級宝石研磨士
日本工芸会正会員、山梨県美術協会会員、山梨県水晶美術彫刻組合理事
貴石名匠工芸士会副会長、東京支部日本伝統工芸武蔵野展審査委員
受賞暦
全国勤労者美術展労働局長賞受賞・山梨勤労美術展労働大臣賞受賞
日本伝統工芸店奨励賞受賞・水晶新作展示会通産大臣賞受賞
科学技術庁長官賞受賞・経済産業省関東経済産業局長賞受賞
日本伝統工芸展入選・日本伝統工芸士会展入選
水晶新作展示会入賞・山梨県研磨新作デザイン展入賞

水晶天馬「詫間悦二作」


河野道一
貴石彫刻 伝統工芸士の逸品
伝統工芸士、現代の名工、(社)日本工芸会正会員
プロフィール  

昭和14年甲府市に生まれる。父河野宝華に師事。
受賞暦
水晶彫刻新作展「知事賞、市長賞、中小企業団体中央会賞他」
(社)日本伝統工芸展、(社)伝統工芸新作展,JJAジュエリーデザインアワード他入選多数 
平成16年秋 黄綬褒章受賞

アベンチュリン獅子と香炉
16.5X15X7cm


網野忠治
貴石彫刻 伝統工芸士の逸品
伝統工芸士、やまなし現代の名工、1級宝石研磨士
プロフィール  
昭和5年甲府市に生まれる。昭和昭和23年網野美水に師事。昭和30年独立。
以後貴石美術彫刻家の道一筋に歩む。
受賞暦
水晶彫刻新作展「知事賞、市長賞、中小企業団体中央会賞他」
昭和58年最高位の通産大臣賞受賞、伝統工芸名作展入選他多数

グリンコーツ紅水晶七福神
17X30X10cm


保坂華水
貴石彫刻 伝統の逸品
1級宝石研磨士
プロフィール  

昭和19年甲府市に生まれる。父華水に師事。
昭和57年、一級宝石研磨士として労働省より認定。
受賞暦
水晶彫刻新作展「知事賞、市長賞、商工会議所会頭賞他」
日本伝統工芸展入選、日本伝統工芸武蔵野展入選
平成15年・平成17年日本ジュエリー協会展入選 

K18ブルートパーズ、アメジスト花器
6X13X13cm
(日本ジュエリー協会ジュエリーアワード2005
 入選作)

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